地元の木でつくった家
葉山町の三ヶ岡地区、大峰山の麓に逗子の杉の木を伐採してつくった小さな住宅です。建て主さんと2人で逗子の山主さんと交流する中で大切に育ててきた森林を切ることが許され、地元の樵(きこり)さんが伐採して山で乾燥させてから製材し、土台、柱、梁、羽柄材としてこの家に使われました。ローコストを徹底的に追求して、外壁を外断熱として内部空間は逗子の柱、梁を表しとし内部は秋田でつくられる杉の構造用合板張り、1階のアトリエ部分のみ漆喰塗り。1階のアトリエ兼ダイニング+キッチンの床はコンクリートの土間仕上げ、天井は2階の床板が表し。2階の床は杉の3層パネル(Jパネル)を両面仕上げして敷き込み1階の天井も兼ねました。玄関の大きな引き戸は葉山の桜花園で購入した蔵に使われていた古材を再利用、夏は開け放して暮らせるように木製の網戸を仕込みました。電気の配線も表しで鎌倉の職人さんが陶器の碍子と白い電線を使ってみごとに配線、昔ながらの技術が蘇っています。浴室も更にミニマムで小田原の桶職人さんが作った小判型の檜風呂、ドイツ製のシャワーカランと船舶用の照明のみの空間。ロフトには仕掛けがあり、南面をガラス張りとして太陽の熱を溜め、1階に設置した薪ストーブから昇った暖気と共にダクトを通して暖かい空気を1階に送り家全体に循環させて暖めています。屋上は建て主さん自らが大リーグ球場などで使われるケンタッキーブルーグラスの種を蒔いて屋上緑化されています。
シンプルな外観
プレーンなセメント板の継ぎ目に付けた杉の桟がアクセントになっています。
外断熱で仕上げた壁
リビングの上の屋根は野球場で使われる芝の種を蒔いて屋上緑化をしています。
蔵に使われていた古材の引き戸を付けた玄関
夏は引き戸を全開にして網戸を引き出して使い、普段は大きな引き戸に付いていた開き戸をくぐって出入りします。
1階の応接間とキッチン
床は土間のまま、薪ストーブを設置してロフトまで昇った暖気をダクトでもう一度1階まで循環させる工夫をしています。ここの壁のみしっくい塗り。
檜のお風呂
お風呂は小田原の桶職人がつくった檜製の小判型浴槽、ちゃんと追い炊き機能付きです。
2階のリビング・寝室・仕事室
伐採した杉の柱・梁が表しのまま、秋田杉の合板の内装。ハシゴでロフトに上がります。シルバーのダクトが暖気を1階に循環させる装置です。
2階の寝室から見たロフト
ロフトの真南に取り付けた窓から北側の寝室に太陽の光が射し込むような吹き抜けとなっています。
2階からロフトを見上げる
ロフトは夏は上昇気流で風を通し、冬はサンルームになって暖気を1階に届けます。