住宅の陰影礼賛はありか。
谷崎潤一郎の随筆「陰影礼賛」は学校で先生が決まって得意げに紹介する「日本の家」の礼賛である。暮れの今日、そんな家を見学する機会がありました。玄関を入ると窓は小さく下にあり薄暗く土間を照らす、だから目線の位置はほぼ真っ暗。室内に入ると柱と梁、二階に上がると屋根を支えるた垂木が表しになり茶色に着色されていた。壁は塗り壁でベージュ。床板も濃く着色されている。この家の特徴は屋根から大きく張り出した軒の出。これらの特徴からまさに陰影礼賛な空間、なのだが暗くて寒い。今の家の良さを損なわないよう、小さな改造のアイデアをお話しして帰ってきました。写真はもうすぐ完成する逗子の家。リビングと和室の間にあけたのぞき窓と欄間の開口部分。工事中に急遽開けたのぞき窓から差し込む光でちょうどいい陰影。着色せず白木のままの杉材が爽やかだ。いい設計って何だろう。
- 2017.12.30